サツマイモの収穫作業を初めて行いました

 9月13日午前、私は、サツマイモの収穫作業を初めて行いました。

 『インクルささぐり』の新しい仕事として農家の農作業支援を行うということです。

 出発前に準備で、私は帽子(野球のキャップ)を自宅から持ってくるのを忘れました。つばが広い麦わら帽子を借りました。これがなければ作業ができないことを、現場で理解しました。

 自動車に分乗して、畑に向かいました。そこは一面の田んぼでした。もう少しで収穫される稲が、稲穂を垂れて風に揺れていました。アスファルトやコンクリートの建物がある街中とは違い、ムッと暑さではありませんでした。風が吹いていました。少しは涼しいかな、と思いました。

 畑は、サツマイモを植えつけた畝の間に雑草が生い茂っていました。一見してサツマイモを栽培する畑とは思えませんでした。

 畑には、2台のトラクターがありました。「1台目のトラクターは、サツマイモの蔓を刈り取ります。重要なのは、できるだけ蔓の部分を短く切り取ることです。そうしないと、2代目のトラクターに付属しているサツマイモを収穫する装置に、蔓が絡みつきます」と、農家の方が説明しました。

 「サツマイモを収穫には、そのような細かい作業が必要なのか」と私は驚きました。

 蔓を刈り取る作業は、『インクルささぐり』のスタッフが行いました。農家の方は「トラクターの運転は簡単ですよ」と言いましたけれど、乗用車とは違うブレーキやアクセル、ギヤチェンジの操作にスタッフは戸惑っていた様子でした。

 それでもスタッフはトラクターを運転して、サツマイモの蔓を刈り取りました。

 次に農家の方がサツマイモを掘り起こす装置を付けたトラクターを運転しました。次々にサツマイモが地表に現れました。

 ここから私たちの作業が始まりました。私は、ハサミでサツマイモと蔓を切り離しました。

 「中腰か座って作業をしてください。立ち上がったままイモを切り離すと、落下した衝撃でイモに傷がつきます。傷が付くと価値が下がります」と農家の方は注意しました。

 中腰でイモを蔓から切り離す作業は、生易しいものではありませんでした。腰に痛みを感じました。私は、座って作業を行いました。これもキツさを感じました。

 強い日光を浴びながら、私はハサミで蔓からイモを切り離しました。小さすぎる物、病害虫で傷が付いた物をえり分けました。一つの束が終わると、少し離れた場所にあるイモの束に所に取りに行きました。「集めやすいよう、一箇所でイモを切り離す作業を起こってください」と指示されたからです。土が柔らかいため、歩きにくさを感じました。ハサミを持っていることから倒れると危ないため、慎重に歩きました。そうやって重いイモの束を持って行って、座って蔓から切り離す作業を繰り返しました。

 風は少し吹いていましたけれど、照り付ける残暑の日光と身体を動かすことから、汗が大量に吹き出しました。肘を曲げると、汗が流れ落ちました。「暑さは、屋外作業のキャンプ場のトイレ清掃とは比べ物にはならない! この作業は、1時間以上続けることはできない」と思いました。汗が噴き出す両腕には、土ぼこりが付きました。靴は土まみれになりました。ズボンもシャツも、汗で濡れました。手袋にも汗が染みだしていました。

 つばが広い麦わら帽子は、広い日陰を作りました。この日陰のおかげで作業を行うことができました。「野球のキャップでは不十分だ。麦わら帽子のような広い日陰をつくる帽子を被らないと、日射病か熱中症で倒れてしまう」と私は思いました。

 作業は1時間程度で終わりました。「これぐらいでいいでしょう」と農家の方が言われた時、私は「助かった!」と思いました。限界を感じていました。

 自動車に置いていたぬるい麦茶を飲みました。生き返ったような気分になりました。

 

 農家の方は、収穫したサツマイモはどうするのかを説明しました。

 「サツマイモは水分を嫌いますので、乾燥させます。そして3ヶ月間貯蔵して熟成させます。最低でも1ヶ月の熟成期間が必要です。熟成させることで、サツマイモに甘みが出ます。とれたてのサツマイモは、不味くて食べられたものではありません」

 サツマイモは熟成させる必要がある、獲れたては不味いことを知って驚きました。

 私たちの作業は終わりましたけれど、農家の方は作業を続けると言いました。これから暑くなる時間に、二台のトラクターを運転してサツマイモを掘り出し、中腰でイモを蔓から切り離し、サイズと傷の具合を見てえり分けます。そしてかごに入れたサツマイモを倉庫へ運んで、広げて干します。乾燥させて貯蔵庫に入れて熟成させます。

 「危険な暑さ」の中で、上記の作業を農家の方は一人で行います。気が遠くなるような大変さです。

 クーラーが効いたスーパーマーケットで売られるサツマイモは、熱中症の危険がある猛暑の中での作業によって収穫される事実を、私は身をもって知りました。

 

 

 

 

 

 

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